アットホーム株式会社が年4回発行する「地場の不動産仲介業における景況感調査」
2020年7月~9月期のデータが発表された。直近の景況感をまとめた上でユーザーの動向とニーズの変化に着目し言及していきたいと思う。
売買仲介における首都圏・近畿圏の今期業況とユーザーの動向

今期業況は前期と比べて首都圏・近畿圏共に大幅に上昇している。首都圏の今期業況DI※1は39.8(前期比+13.2ポイント)、近畿圏33.2(同+10.4ポイント)となった。
しかし、前年同期比で見ると宮城県、千葉県、神奈川県の3エリアではプラスとなりコロナ以前の水準を回復しているが、東京23区、静岡県、京都府、大阪府、広島県では同10ポイント以上のマイナスとなっておりエリアによっては回復傾向のバラつきがある様だ。
都心部の不動産店舗からは「コロナの影響でお客様があまりいない」「コロナ禍で慎重なお客様が増えた」等まだまだコロナの影響が続く一方で、「テレワークの普及によって23区外、バス便への関心が高くなった」「郊外で戸建てを探す方が増えた」など現場では従来の引越しニーズに変化が起きている事が分かる。 ※DI(diffusion index)企業の業況感や設備・雇用人員の過不足などの各種判断を指数化したもので50を基準として、それよりも上なら「良い」、下なら「悪い」を意味する。
今期業況の特徴から分かるエリアに対する需要の変化とは

総務省の「住民基本台帳人口移動報告」によると、首都圏では東京 23 区で 2020 年 5 月に比較可能な2013年7月以降で初めて転出超過に転じた。6 月はいったん転入超過に戻ったものの、7 月、8 月は再び 5 月を上回る転出超過となっており東京一極化集中が変わりつつある。
また、埼玉県、千葉県、東京都下、神奈川県(以下、周辺 4 エリア)では転入超過が継続しており、東京 23 区からの転入が推測される。前段で触れたが郊外への流出傾向が顕著に表れている事がここから分かる。特に千葉県では 5月以降 8 月まで転入超過数が前年を上回っている。 近畿圏を見てみると、大阪府では 2019 年を上回るペースで転入超過が続く一方、京都府、兵庫県では転出超過が続く。2019 年の「住民基本台帳人口移動報告」では大阪府の転出先の 98%が首都圏、転入元の約 40%が近畿圏であったことから、大阪府から首都圏への転出が鈍る一方、周辺府県からの転入は一定程度継続していることが推測され、近畿圏では大阪府への人口集中といった首都圏とはまったく異なる様相をみせている。
大阪府が他地域に比べて転入が多い理由として、りそな総研は「万博やIRなど関西の中長期的な経済成長期待が人口吸引力につながっている」と分析している。
まとめ
ニーズの変化に伴って東京一極化集中に終焉の兆しが見える。
これはお部屋探しの選択肢が増えた事を意味している。テレワーク等が普及していく中で不動産マーケットは様々なニーズに対応していく事になるだろう。それによって諸外国と比べ日本では低迷している中古住宅市場等も伸びていくと予想する。
住宅を供給する側も需要を持っている側も変わりつつある中、大きな変化が不動産マーケットに起きていくだろう。
不動産革命では、住宅設備のニーズについての記事も取り扱っております。
ぜひチェックしてみてください。
出典:PRITIMES 11月2日「地場の不動産仲介業における景況感調査」
文責:不動産集客革命編集部