コロナ禍によって人々の意識は大きく変わりました。住まい探しにおいても同様で、エンドユーザーのニーズの変化を取り込むことが、不動産会社における集客のポイントと言えるでしょう。
そこで今回は、(株)リクルート住まいカンパニーが行った「住宅購入・建築検討者」調査(首都圏)の結果を検証し、不動産会社の集客にどのようにつなげるかについて考えてみたいと思います。
コロナ禍で戸建て検討層のニーズに生じた変化とは?

コロナ禍の拡大が住まい探しにどのような影響があったかについて聞いたところ、以下のような結果となりました。
Q.コロナ禍の住まい探しへの影響(複数回答)
1 | 影響はない | 34% |
2 | 検討を中止した | 24% |
3 | 見学を中止した | 23% |
4 | 住まい探しの後押しになった | 16% |
5 | 住まい探しのきっかけとなった | 15% |
この中で、コロナ禍によって住まい探しが進んだと回答した4位と5位を、物件種目別に比較したものが以下となります。
Q.コロナ禍の住まい探しへの影響(複数回答)
「A.住まい探しの後押しになった」
注文住宅 | 21% |
新築マンション | 19% |
新築一戸建て | 28% |
中古マンション | 18% |
中古一戸建て | 30% |
Q.コロナ禍の住まい探しへの影響(複数回答)
「A.住まい探し始めのきっかけとなった」
注文住宅 | 20% |
新築マンション | 17% |
新築一戸建て | 24% |
中古マンション | 18% |
中古一戸建て | 26% |
種目別では、マンションよりも一戸建て検討者の方が回答の割合が5〜10ポイント程度程度高くなっています。コロナ禍によって一戸建て検討層の住まい探しが進んだことが分かる結果と言えます。
最新の住宅ニーズまとめは下記にまとめてあります。是非ご覧ください。
在宅勤務・外出自粛で自宅の住環境改善ニーズが高まる
次に、一戸建て検討層が住宅に求める条件について、コロナ禍にニーズが高まったものの中からTOP3を以下にまとめました。
Q.コロナ拡大による住宅に求める条件の変化(複数回答、上位3項目)
注文住宅検討層
1 | 仕事専用スペースが欲しくなった | 34% |
2 | 宅配ボックス・置配ボックスを設置したくなった | 30% |
3 | 遮音性に優れた住宅に住みたくなった | 28% |
新築一戸建て検討層
1 | 宅配ボックス・置配ボックスを設置したくなった | 35% |
2 | 通風に優れた住宅に住みたくなった | 34% |
3 | 部屋数が欲しくなった | 34% |
中古一戸建て検討層
1 | 宅配ボックス・置配ボックスを設置したくなった | 36% |
2 | 広いリビングが欲しくなった | 33% |
3 | 通風に優れた住宅に住みたくなった | 32% |
3 | 遮音性に優れた住宅に住みたくなった | 32% |
3 | 日当たりの良い住宅が欲しくなった | 32% |
仕事専用スペースが欲しくなったという回答は全体で最も多い回答となっており、新築・中古一戸建てそれぞれで4位につけています。また、外出自粛期間に自宅で過ごす時間が増加したことから、自宅の住環境の充実に関連するニーズが上位を占めています。
利便性よりも居室の広さを重視する傾向がより顕著に

次に、同じ物件価格の場合、住宅の広さと駅距離のどちらを重視するかについて、コロナ前とコロナ後でどのような変化が生まれたかについて検証します。
Q.広さ・駅距離 重視意向(単数回答)
2020年5月度調査結果 広さ重視(52%):駅距離重視(30%)
2019年12月度調査結果 広さ重視(42%):駅距離重視(40%)
コロナ前は広さ重視と駅距離重視が拮抗していましたが、コロナ禍によって駅距離派が伸長する結果となりました。一戸建て検討層においては、コロナ前から広さを重視する傾向がありましたが、その差がさらに広がっています。
この調査結果からも住まいの快適性に関するニーズの高まりが見てとれます。
まとめ
今回の調査結果から、コロナ禍によるテレワークの普及によって可処分時間が増加し、自宅での過ごし方を改善すべく、居住スペースの広さや快適性を期待して戸建ての検討を開始するエンドユーザーが増加していることが分かりました。
不動産会社の集客においては、このようなニーズの変化に対して、戸建てならではの強みとして、居住空間が広いこと、建て替えやリフォームの自由度が高いこと、庭があることなどを訴求していくことが重要です。
これらの強みは、自宅内のワークスペースの確保しやすさ、リフォームによる遮音性・防音性の向上、家族時間の充実などにつながりますので、集客(チラシ、ポータルサイトなど)における訴求ポイントとして注力していくことが重要です。
【(株)リクルート住まいカンパニー『住宅購入・建築検討者』調査(首都圏)調査概要】
・調査目的
コロナ禍を受けた住宅の購入・建築、リフォーム検討意向者の意識と行動を把握する
・調査対象
首都圏(東京都/千葉県/埼玉県/神奈川県)在住の20-69歳男女で、 4月7日以降に住宅の購入・建築、リフォームについて「具体的に物件を検索した。もしくは建築・リフォーム会社の情報収集をした、している」「資料請求をした」「物件、モデルルームや住宅展示場、モデルハウス、ショールームを見学した」「不動産会社、建築、リフォーム会社を訪問した」「賃貸・購入する物件や、建築・リフォームの依頼先と契約した」のいずれかの行動をしており、検討に関与している者。
・調査方法
オンライン上でのアンケート調査
・調査時期
2020年5月17日(日) ~ 5月21日(木)
・有効回答数
1,082 (本リリース集計対象:569)
文責:不動産集客革命編集部