日本の既存住宅物件の流通比率は欧米主要国と比べ圧倒的に低い。
下記図から既存住宅流通シェアの国際比較を読み取る事が出来る。既存住宅取引戸数の割合が日本は14.5%に対して、アメリカやイギリスは80%越え、フランスも70%近くを既存住宅の取引が占めており欧米諸国と比べると限定的な市場である事が分かる。

出典:国土交通省「既存住宅市場の活性化について」令和2年5月7日
これ程までに日本の既存住宅市場が限定的な理由として、消費者が既存住宅を購入する際に、隠れた不具合や品質について不安を抱えており、売主と買主の間には情報の非対称性が生じているとの指摘があり日本の既存住宅市場を縮小させている可能性がある。
また、こうした個別の既存住宅の性能等が明らかでないことにより、特に木造戸建住宅においては、一律に築後20年程度で価値ゼロと評価する慣行が存在している。
既存住宅市場を活性化するべく生まれた制度が長期優良住宅認定制度だ。認定を受けると建物の価値が高まり、中古市場での価格が上昇しやすい。
しかし、2009年に導入されたが活用は限定的で認定を受けている住宅は110万戸と全体の2%止まり。認定住宅のほとんどは戸建てで、マンションなどの集合住宅は全体の1%に満たないという。
国交省は現行の認定基準とは別に耐震や断熱性能などを一部緩和した基準を新設し、2段階とすることを提案した。これにより長期優良住宅を増やし既存住宅市場の底上げが狙いだという。
眠り続ける既存住宅市場。次のブルーオーシャンとなるか。今後もマーケット環境の変化に注目していきたい。
出典:日本経済新聞 10/22 長期優良住宅、認定基準を拡大へ国交省が検討開始
文責:不動産集客革命編集部